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音声音韻 母音の無声化現象

記事のレベル;★★☆☆☆

母音の無声化

芸能人の「菊川怜」というときに、皆さんは「キクカワレイ」と1音1音丁寧に発音するでしょうか。関西弁の人はもしかしたら1音ずつ子音母音のペアで「kikukawa rei」と丁寧に発音するのかもしれない。しかし、実は東京方言の人は1音ずつ丁寧に発音してない場合がほとんどです。

たいがいは、「kikkawa rei」とか、ひどい時には「kkkawa rei」になったりします。
朝の情報番組で小倉さんが菊川怜のことを呼ぶのを想像してみると「きっかわさーん」的な呼び方をしてるのが頭に浮かべれば何となく想像つくと思います。

また、こんな場合もあります
みなさんは「ありがとうございます」というとき、「arigatou gozaimasu」と言っているでしょうか。
たいがいは一番最後の「su」を「s」で発音しているのではないでしょうか。
なかには「aaaas」と言っている人もいると思います。
さらにもっと省略させて「sssssssssss」と言っている人もいますね。ちなみに筆者もその一人です。

これは有る条件下で「母音」が無声化しているといえます。

その前に前提条件として、「母音」を発音する時は絶対に喉が震えるということを知っておいてください。喉に手を当てて、「あーいーうーえーおー」と言ってみましょう。
喉がブルブルしているのが分かると思います。

つまり、母音「あ」とか「い」とか発音する時は絶対に喉の震えが発生するのです。この喉が震えて発音される音のことを有声音といいます。

そして、ある条件下では喉の震えが発生しないという現象がでてきます。
この喉が震えずに発せられる音のことを、無声音といいます

有声音、無声音 とは

そして本来、母音を発声するときは必ず喉の震えが伴わないといけないのにも関わらず、喉の震えが消えてしまうことを「母音の無声化」といいます。

それは次のような条件で起こります。

・母音の「い」や「う」が [p]や[t]や[k]や[s]のような無声子音に挟まれた時。
・母音の「い」や「う」が [p]や[t]や[k]や[s]のような無声子音の後で語尾(文の終わり)にあるとき。

つまり 単語が

・(無声子音) 「い」/「う」 (無声子音)
・(無声子音) 「い」/「う」

になっているときです。

[p]や[t]や[k]や[s]を無声子音と言っていますが、これらの音は喉が震えません。

試しに「ぱ」と発音してみてください。[p]を発音しているときは喉が震えてないでしょう。ただ母音の[a]が始まると喉が震えだすので、ほんの一瞬だけです。

先の「きくかわれい」も喉に手を当てて発音してみると「き」の部分が喉を震えさせずに発音されていると思います。
人によっては「きく」両方が無声化してるでしょう。

それは
k i k u k a w a

iとuがkという無声音に挟まれて無声化したからです。

「くつした」なんかもそうで喉に手を当てて発音してみると「くつ」の部分は喉が震えていないことが分かると思います。

「ありがとうございます」のすも
a ri ga to u go za i ma s u
の最後の「u」は無声音のsの後ろで語尾にあるから無声化します。

関西弁では発生しない

でも、関西弁では実は、その限りではなかったりします。
上記の条件でも無声化しない人はたくさんいます。

なんでそうなるの?

まず、前後の無声音に影響されて「い」「う」も無声化します。
無有無よりも無無無のほうが経済的だからです。

あと、なんで「い」、「う」だけかっていうと、
「い」や「う」が陰キャだからです。

「い」や「う」が母音のなかでは一番母音ランキングが低くて目立たない音なのです。

ちなみに、母音ランキング1位が「あ」、2位が「え」と「お」、3位が「い」と「う」
だとざっくり理解してくれたらいいです。

目立たない音は削除してしまえ精神です。

(「あ」を発音する時は、口を全開にして発音します。逆に「い」「う」を発音する時は 口を殆ど開きません。つまり、口腔内での空気の妨げが強いため、あまり音のエネルギーが飛び出しにくいということです。これが陰キャたる所以!→音の階層の話し)

ちなみに、「い」「う」は目立たないからこそ役立つ時があります。

外来語適応

基本的に、日本語は「子音 母音, 子音 母音….」の組み合わせですが、外国語はその限りでもありませんね、英語とか「子音 子音 子音 母音 子音 子音 子音」みたいな、どこまで子音ねーんみたいな単語があります。
これらが日本語になった時は「子音 母音, 子音 母音….」に改造されるわけですが、多くの場合、現代日本語では「u」が挿入されます。

例えば、英単語の
“strike” [straik] だったら
日本語になると
「ストライク」[sutoraiku] になりますね。

「s」の後ろに「u」、「k」の後ろに「u」が挿入されてます。
「t」の後ろに「o」が来ているのは「u」をいれると「tsu」になって子音が変わってしますので、仕方なく「o」を入れてるって感じです。

このように、特別な理由がない限りは「u」が母音として採用されるのです。それは目立たない音だからで、もともとの母音が入っていない英語発音を一番壊しにくい音だからなのです。

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