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音韻論音声学日本語のアクセントの表記方

記事のレベル;★☆☆☆☆

 

はじめに

これまで、アクセントを表記する時はとかとか使ってましたが、もちろんこれは正式なアクセント表記法じゃないです。

これまでにも、アクセントの表し方として、頭高型、中高型、尾高型という分類を紹介してきましたが、あまり推奨されるものではありません。

というのも、頭高型と尾高型は、「あ、語頭にアクセントがある」だとか、「語尾のアクセントだな」というように一発で理解できますが、中高型はこの表記法だと微妙ですよね。

仮に「この単語は中高型だ!」っていわれても、「アクセントどこやねん!」ってなるでしょう。

たとえば、↓ダ↑ン↑ボ↓ー↓ル」「↓げ↑ん↑ろ↓う↓い↓ん」「↑さ↑く↑ら↓いの3語を見てみても、これ全部中高型です。

「ダンボール」「ボ」「ー」の間にアクセントがあり、「げんろういん(元老院)」「ろ」「う」の間にアクセントの変わり目があります。そして、「さくらい(櫻井翔の櫻井)」の方は「ら」「い」の間にアクセントがあります。つまり、アクセントの位置はバラバラなんです。でも、全部「中高型」の一言で片づけられるんです。かなり不都合なのです。

というわけで他の表記法が必要なわけですが、本ページで使用している」「の記号は実は理にかなってるんです。各モーラに書いてやると誰もが誤解なくアクセントが把握できる。まるで天国ですよ。でも、国語辞書などを見ても、とかとか書いてるものってないですね。なんだか幼稚な表現な感じもします。

 

〇●表記法

そういうわけで、この↑↓矢印に相当するものでよく見るものの1つが、●◯このマーク。その手のサイトでアクセントについて調べててこのマークをよく見かけます。

意味は、

●→

◯→

そんだけの話で、やってることはこれまでやっていた通り、矢印で一つ一つ記述しているのと殆どかわりません。

 

「ダンボール」だったら〇●●〇〇というように表すことができます。

利点は白黒のみで視覚的に分かりやすいって所ですね。

 

HL表記法

 

単純にH” “L で表すこともできます。

Hは”high” Lは”low” を表しています。

「ダンボール」はLHHLLというように表すこともできます。

 

線で表記する方法

他の方法としては、線で書いてやるってのもあります。

たとえば、こんなん

 

この表記法は上で紹介した方法よりも視覚的にかなり分かりやすいです。

 

利点はどこが高くてどこが低いか一瞬で分かること。

欠点はパソコンで書くときに割とめんどくさいこと。

 

[   ]表記法

上の表記法が「うわっめんどくせ!」って思ったら、これまで紹介してきたものを[ ]マークで表すこともできます。

 

“ [ ” マークはピッチが高くなるところを表し、 ” ] ” マークはピッチが低くなるところを表します。

 

例えば、

[ンボ]ール

というように表記してやれば、「あぁ、「ン」で上昇してるから「↓ダ↑ン」、「ー」で下降しているから「↑ボ↓ー↓ル」なんだな」っていうのが速攻でわかると思います。

もっと単純化してやると、[    ]の内部にあるのがでそれ以外がだということになります。

 

「’」 マーク

東京方言に限り、「’」 マークで表せられます。 例えば、

ンボール

というように、’」にマークを入れてやることによって、↓ダ↑ン↑ボ↓ー↓ルなんだということが分かります。

 

なぜこんなことが可能かというと、東京方言には3つの制約があって、

A, 最初と次の拍のピッチは異ならなければならない。

B, 一度ピッチが落ちると、二度と上昇しない。

C, 特殊拍にはピッチの下がり目がこない

こいつらのおかげでアクセントが一か所定まれば単語全体のアクセントを定めることができるんですよね。

 

この3つの法則については→東京アクセントの特徴参照

 

逆に関西方言では、1か所だけアクセントの位置を指定しても単語全体のアクセントは定まりません→高起式、低起式について

 

後ろから何番目か

他には

前から何番目、後ろから何番目という表記も多かったりします。

 

実は国語辞書でもこの表記法を密かに採用していたりします。

例えば「新明解国語辞典」だったら

たんとう⓪【担当】……

だんねん➀【丹念】……

的な感じで表記されています。

 

これは

「担当」がアクセント無し、つまり平板型。

「丹念」が前から1拍目にアクセント有り。

という意味になります。

 

東京方言はアクセントの位置が1か所決まると語全体の高低も決定するので、これらはそれぞれ

「担当」→「↓た↑ん↑と↑う

「丹念」→「↑だ↓ん↓ね↓ん

 

ということになります。

どの表記かは辞書によっても違うし、書いてないことさえもあります。

 

 

前から何番目と表記するよりは、後ろから何番目と表記する方が圧倒的に多いです。

 

そういうわけで、アクセントの表記方法はいっぱいあるということを今回はご紹介いたしました。

 

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