記事のレベル;★☆☆☆☆
はじめに
筆者はあまり風邪をひかない。でも最近ついに風邪をひいてしまい、声があまり出ない状況におちいってしまった。
この状況で「メラニー法」を使用した女声を出そうとすると、出しにくい。
一方で地声を入れてやる方法で発声すると声が出やすいってことが直感的に分かった。
この体験を考察していきたい。
本来ならこの記事はもっと後に書くべきですが、今ちょうどいい感じで喉が潰れているので、このタイミングで投稿しとこうと思う。
喉の潰れ度合いに依ると思うけれども、風邪引いてる時に声をいろいろ出してみると気づいたことがある。
地声裏声
・地声は出る。
・息漏れのある裏声も出る。
・しかし、息漏れの無い裏声は出にくい。
よく、女声系の記事で
・声区
・ミックスボイス
という用語を目にしますが、これらの感覚を掴むのには悪くないかもしれないと思った。ただし、あくまでも感覚であって本格的な習得に至るものではないことには注意しなければならない。
風邪での喉の潰れを利用して、自分の声の発達段階に応じて自分の声を客観的に確認することができるのかもしれない。
裏声(falsetto)
まずは、裏声に関して。裏声には「息漏れのある」裏声と「息漏れの無い」裏声がある。女性の声を発生しようと思ったら「息漏れの無い」裏声が理想なので、自分が「息漏れの無い」裏声を発生しているのか、「息漏れのある」裏声を発声しているのかを知る手掛かりになるのかもしれない。
「息漏れのある」裏声 (風邪声ver.)
普通に裏声を出すのと変わらない。
「息漏れの無い」裏声 (風邪声ver.)
咳があって申し訳ないけれども、このように声が出しにくい
ちなみに、ボイトレ系のサイトではよく、この「息漏れのある裏声」を「ファルセット」、「息漏れのない裏声」を「ヘッドボイス」とか「強い裏声」とか表現しているが、それは声楽などで慣用的に使われてる表現なだけなんじゃないかなと思う。
「ファルセット(falsetto)」とは英語で「裏声」を表す単語でしかなく、「ヘッドボイス」は、声帯振動、または共鳴に関する用語なので、あんまりこれらを併用するのはよろしくないんじゃないかなと思う。
声区に関して
声には大きく分けて地声(natural voice)、裏声(falsetto)があるが、女性の声を男性が発声しようとすると、これらの中間を狙って発生しなければならない。
しかも、この裏声は「息漏れの無い裏声」が理想である。
しかし、地声と裏声の中間と言っても、自分の声に聴きなれていなければ自分が今、地声で発声しているのか裏声で発声しているのか分からなくなるということがある。
でも、「息漏れのある裏声」が発声しにくい風邪の症状を利用して、中間音を見つけ出せるかもしれない。
この手法も、もちろんトップダウン、ボトムアップの方法が考えられるため、
➀「息漏れのない裏声」を発声し、だんだん下げていくといきなり発声しやすくなる。そこが恐らく中間地点付近。
②地声をだんだん上げていくと、いきなり発声し難くなる。それが「息漏れの無い裏声」の領域に入った証拠でそこらへんが中間点付近。
といえる。
ここで「付近」と表現したのは
たかだか風邪の症状と声区がカッチリ一致するなんて考えられないから。あくまでも目安と考えてくれればいい。
➀はカスレ声からはじまりはっきりとした声になってるのが分かると思う。
②は地声から上げていった声オーバーに裏声の領域を発声しているけれども、本来はもうちょい下らへんで発声すべき。
➀、②とも質が悪いけれど許してくれ。
河原で録音してたらオジサンがこっちに歩いてきたから焦ってたんだ。
そして、もちろんそのポイントを狙って発声しただけでは女声は出せない。
➀喉を絞って鼻声で誤魔化す
②地声を入れていく
この2種類の方法、またはこれらを同時に行う必要がある。
➀については
喉を絞って、(慣れたら絞らなくても出せる)鼻の付け根らへんで共鳴させることでアニメ声を出すことができる。
②については
地声を、しかもただの地声ではなくミックスボイスっぽい地声を入れてることで、低音域の女声を出すこともできる。その際に、超低音で発生するとカエル声になる。
個人的な感覚でいうと下の図のような感じ。
地声と裏声との境目付近(声換点付近)で喉の使い方をちょいと変えると、普段と違う音が出てくる。慣れてくると喉がカチっとはまる感覚がする。
それがミックスの領域だと勝手に思い込んでる。
以前の記事でも言った通り、カエル声は狙って出すものではなく、女声を出そうとする過程で習得するものであるため、カエル声を出せなくても悲観的になる必要がない。
図の左上で「女声??」となっているのは、普通にカエルっぽい声を高くしても女声にはならないから。微量の鼻の付け根での共鳴を伴って初めて女の子っぽい声になる。
ミックスボイスについて
正直なところ、私自身ミックスボイスは出せているか分からない。
けれども「ミックスボイスっぽい声」について解説します。
先ほどの図でいうと、右側の「カエル声」、「女声??」にあたるところがミックスの領域にあたる。
先ほどの声区の境目周辺で喉を横に拡張するように意識しつつ、ほんの少し下側の声帯(輪状軟骨)を下にさげる。
そうするとカエル声や女性のような声が出るのだが、いきなり出るかと言われれば絶対に出ない。風邪の喉、つまり息漏れの無い裏声がかすれる状況を利用して声換点付近で喉を変形させるただその感覚を掴めればよいと思う。
↓風邪で喉が潰れている中「息漏れの無い」裏声で無理やり喉を絞り、途中から声を入れていったもの
最初はかすれているけれども途中から声がはっきりしてきた。さらに最後らへんは声を下げたので若干カエルっぽく聞こえる
良く、英語の[æ]の形(アメリカ英語でのcat, やcanの「ア」の発音)で発声するとでやすいと言われています。個人的にはこの口の形+「喉を横に拡張」を意識しつつ発声すると出やすい気がする。
とにかく喉をいろいろ使ってみることが重要なのです!
咳と女声
風邪で咳がめっちゃでた時に、2種類の咳があることに気づいた
・喉から出す咳
・腹から出す咳
喉からの咳は普通に「ゲホゲホ」という咳
腹からの咳はお腹の底から、「ゴホゴホ」とくる咳
腹からの咳は咳払いし続けると、笑い転げた時のような腹筋の痛さが走る。
肺の息をゼロにして腹咳をしてみると痛みが大きくて実感がわきやすいと思う。
それで、重要なのがどう頑張っても女声で腹からの咳払いができないということ。
たぶん、腹からの咳払いは横隔膜を使った所謂、腹式呼吸とほぼ同じ原理で出ているのだと思う。もしそうだったら、女声に腹式呼吸は必要ないってことになる。
というか、女声を出す際には大なり小なり喉の締まりが必須ということになる。
そういうわけで、前記事で言ったように、どういうアプローチで女声を習得しようとも根本的な技術は共通しているということ。
逆に、腹式呼吸を使用して歌の技術を向上させたいという方には咳の力を借りて感覚を掴むというのもありかもしれない
酒と風邪と女声
風邪で声が出にくい現象と酒を飲んだ後の声の出にくさが似ているらしい。
このことについてググったらこんなことが書いてあった。
風邪をひいている時は、喉が腫れて声が出にくく、一方で酒を飲んだ後は、血流が良くなって血管が膨張することで喉が腫れて声が出にくくなるそうな。
つまり、お酒を飲んだ状態の喉で疑似的に風邪の時の喉の形を作り出せるかもしれない。
筆者は酒をあんまり飲まないからワカリマセンが、酒を飲んだ後に練習するのもいいのかもしれない。
おわりに
ただ風邪や酒を飲んでる状態での喉への負荷は喉が潰れやすくなると聞くのでその点は注意してね。ここで紹介したのは喉に負荷をかけかねないある種、禁断の技みたいのなもの。あくまでも感覚を掴むものだと思ってほしい。風邪引くことがあったらラッキーだと思って、体調管理に気を付けて気長に練習してほしい。