記事のレベル;★★☆☆☆
関西方言アクセント、関西方言のアクセントの位置、エセ関西弁からの脱却←を見ていただけると分かるように、関西方言の各単語ごとのアクセントはアホみたいに複雑で東京方言よりも複雑でした。しかしそれを、ひとたび複合語にしてしまうと割と単純なアクセントになります。
複合語のアクセントパターンに関して今回は説明します!
因みに東京方言の複合語アクセントはここ参照
★関西方言のアクセントは後部要素(2番目の単語)が3or4拍か2拍以下か5拍以上or平板型で決まります。
後部要素が3拍以上の関西弁の複合語のアクセントについて知るには、まず、高起式と低起式を思い出しましょう。
高起式:最初の拍が高く始まる
低起式:最初の拍が低く始まる
高起式、低起式については→関西方言の高起式、低起式の分類
これさえ理解できていればあとは余裕で複合語は作れます。
次のように複合語を作るだけです
高起式の前部要素 + 後部要素 → 後部要素の1拍目まで高
低起式の前部要素 + 後部要素 → 後部要素の1拍目が高
つまり、
↑XXXX + YYYY → ↑X↑X↑X↑X↑Y↓Y↓Y↓Y
↓XXXX + YYYY → ↓X↓X↓X↓X↑Y↓Y↓Y↓Y
具体的には
↑け↑い↑お↑う + ↑だ↑い↑が↑く → ↑け↑い↑お↑う↑だ↓い↓が↓く
↓わ↑せ↓だ + ↑だ↑い↑が↑く → ↓わ↓せ↓だ↑だ↓い↓が↓く
という塩梅に、前部要素の1拍目が高起式か低起式かだけですべての運命が定まります。
こういうのを式保存の法則っていいます。
この場合、実は後部要素が2拍以下の時は次のようになります。
高起式の前部要素 + 後部要素 → 前部要素の最終拍まで高
低起式の前部要素 + 後部要素 → 前部要素の最終拍が高
すなわち
↑XXXX + Y(Y)→ ↑X↑X↑X↓Y(↓Y)
↓XXXX + Y(Y)→ ↓X↓X↑X↓Y(↓Y)
となり、具体的には、
↑お↓ん↓な + ↑さ↓か → ↑お↑ん↑な↓ざ↓か
↓く↑す↓り + ↑さ↓か → ↓く↓す↑り↓ざ↓か
↑こ↓う↓べ + ↑し → ↑こ↑う↑べ↓し
↓あ↓し↑や + ↑し → ↓あ↓し↑や↓し
のようになります。
ただし、この後部要素が2拍以下の時は例外もわんさかあって、
↑お↓ん↓な + ↑や↓ま → ↑お↑ん↑な↑や↑ま
だったり、
↑さ↑か↑な + ↓や → ↑さ↑か↑な↑や
↑は↓な + ↓や → ↓は↑な↓や
↓く↑す↓り + ↓や → ↓く↓す↓り↑や
こういったやつらには注意が必要です。
てかこれら例外群を誰か法則性を見つけて教えてほしいです笑
この場合は以下のようになります
高起式の前部要素 + 高起式後部要素 → 高から始まり、アクセントは後部要素と同様
低起式の前部要素 + 高起式後部要素 → 低から始まり、後部要素の1拍目で高アクセントは後部要素と同様
高起式の前部要素 + 低起式後部要素 → 高から始まり、後部要素の1拍目で低アクセントは後部要素と同様
低起式の前部要素 + 低起式後部要素 → 低から始まり、アクセントは後部要素と同様
↑XXX + ↑YY↑Y↓YY→ ↑X↑X↑X↑Y↑Y↑Y↓Y↓Y
↓XXX + ↑YY↑Y↓YY→ ↓X↓X↓X↑Y↑Y↑Y↓Y↓Y
↑XXX + ↓YY↑Y↓YY→ ↑X↑X↑X↓Y↓Y↑Y↓Y↓Y
↓XXX + ↓YY↑Y↓YY→ ↓X↓X↓X↓Y↓Y↑Y↓Y↓Y
というようになります。
例えば
↓ブ↓ル↓ー↑ベ↓リ↓ー + ↑ヨ↑ー↑グ↓ル↓ト → ↓ブ↓ル↓ー↓ベ↓リ↓ー↑ヨ↑ー↑グ↓ル↓ト
↑み↑な↑み + ↑カ↑リ↑フォ↑ル↑ニ↑ア(無アクセント) → ↑み↑な↑み↑カ↑リ↑フォ↑ル↑ニ↑ア(無アクセント)
のように、前部要素が低いなら後部要素の初めの拍までずっと低いままです。後部要素の1拍目が低い(低起式)ならそのまま低いままで後部要素のアクセント形態を保存します。後部要素の1拍目が高い(高起式)ならその時点で高くなり、後部要素のアクセント形態を継承します。
前部要素が高い時は逆です。
ただ
コテコテの大阪弁だったら
↑し↓み↓ん + ↓か↓い↑ぎ↓し↓つ → ↑し↑み↑ん↓か↓い↑ぎ↓し↓つ
みたいになったりしますが、これは上記の法則通り
↑し↑み↑ん↑か↑い↑ぎ↓し↓つ
でも違和感は有りません。
東京方言の複合語でも書きましたが複合語が複合語たる所以はもともと2つあったアクセントが1つに集約されることです。アクセントが1つしかないのを聞いて、日本語話者は「あーこれは1語なんだなぁ」と判断するのです。その過程で東京方言ではなかった高起式、低起式が混じりあってメチャクチャ複雑になっていますがベースは東京方言と同じなので、ワンちゃん頑張れば行けると思います。