記事レベル;★★☆☆☆
前回は関西方言のアクセントの位置について、高起式、低起式という語を用いてお話しました。また関西方言アクセントパターンについても紹介しましたが、これらには東京方言との対応関係が見られるので、今回はそれを紹介いたします。
あなたが日本語母語話者(少なくとも東京方言の直感がある)である限りは、簡単に簡単に習得できるかもしれない(できないかもしれない)。
東京方言でこのアクセントだったら、他の方言対応ではこのアクセントというように、パターンで覚えられるということです。
ただし、この規則も100%完璧というわけではないですし、なにより覚えるのが面倒くさいので覚悟が必要です。
また、本記事は実用的ではないです。今回の議論を発展させて、実用的なものにしたのが次の記事➜エセ関西弁からの脱却
金田一春彦は、名詞、動詞、形容詞について、各アクセントパターンを分類しています。
この分類のことを類と呼んでいます。(第1類、第2類、第3類…みたいな感じで)
例えば、2拍名詞なら、第1類~第5類に分けられて、
第1類なら 東京方言で「↓う↑し」(牛) → 関西方言で「↑う↑し」
第2類なら 東京方言で「↓い↑し」(石) → 関西方言で「↑い↓し」
第3類なら 東京方言で「↓あ↑し」(足) → 関西方言で「↑あ↓し」
第4類なら 東京方言で「↑う↓み」(海) → 関西方言で「↓う↑み」
第5類なら 東京方言で「↑あ↓き」(秋) → 関西方言で「↑あ↓き」
というようになります。
上の区別は「類」を簡単に説明するために書いただけなので欠点があります。
それは、東京方言と関西方言の第2類と第3類の区別が全くなかったり、2拍なので、第1類、第2類、第3類の東京方言一緒やし区別つかんやないかいという感じですが、これらは、
・他の方言との兼ね合い
・助詞がついたときにアクセントが変わってくる
・歴史的な変化の変遷を考慮した分類である
といったところが関連してるので、金田一先生は関西弁習得のために、この図を作成したわけではないという点に注意です。
詳しくは下に作成した表にまとめていきたいと思います。
↓の表は2005年金田一春彦著の『金田一春彦著作集 第五巻』(玉川大学出版部)の一部を改変したものです。
筆者の技術不足でちょい汚くて申し訳ないです
このパターンに従えば、ある程度、東京方言のアクセントと対応させて関西方言のそれを理解することはまだマシになると思います。
それと金田一は金田一でも「じっちゃんの名に懸けて」の金田一ではありません。むしろ今よくテレビに出演されている金田一秀穂先生の「パパ」です。「じっちゃん」ではなくて。
ちなみに、じっちゃんも言語学者で金田一京助といいます。アイヌ語研究に尽力してくださった学者なのです!