記事のレベル ★☆☆☆☆
前記事では、拍と音節の違いを長々とお話してきました。日本語には拍という概念がリズムの処理に大きく寄与していました。だから、しりとりや川柳などの言葉遊びや詩歌なども拍単位で処理されていると言えます。しかし、日本語以外の多くの言語では音節で処理されることが多いのです。
この処理方法の違いが面白い現象を生み出したりすることがないこともない!
例えば、文庫(ぶんこ)とか完備(かんび)とか逆から読んでみてー
みたいなことになると、我々は難なく「こんぶ」だとか、「びんか」とか読めますが、非日本語母語話者的には「!?」ってなるらしいです。というのも、前記事で書いた通り、日本語の「ん」は特殊拍といわれる音で、音節では「ん」1つだけでは自立できず、他の文字とくっつき1つの音節としてカウントされるからです。(つまり、「やかん」だったら3拍だけれども、音節数は「や」と「かん」の2音節なので「ん」1字だけでは単体で音節をカウントできないということです。)
そういうわけで音節で処理する言語の話者の方々に、逆読みで読んでもらうと
それぞれ、
文庫(ぶんこ)のことは「こぶん」、
完備(かんび)のことは「びかん」
と読んでしまいがちになる傾向があるわけです。
非日本語母語話者で日本語学習初級者とお話する機会があれば、試してみたらいいと思います。日本語を全く知らない人にやると、「文庫?」「完備?」「は?」となるし、日本語上級者に訊いても、日本語に慣れすぎて、普通に「こんぶ」「びんか」と答えてしまうでしょうから気を付けてくださいね。