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音韻論, 音声学日本語のリズム Part1-拍について

記事の難易度 ★★☆☆☆

ここで扱う日本語のリズムとは特に断りが無い限り東京方言について扱っていると思ってください

 

まず日本語のリズムは拍がベースなのですが、拍とは何?って感じですね。

拍はモーラとも呼ばれます

拍は基本的には日本語の平仮名1文字が1拍と思ってください

例えば、かんてん(寒天)だったら「か」「ん」「て」「ん」の4拍です

    カヤック   だったら「か」「や」「っ」「く」の4拍です

    マーガリン  だったら「ま」「ー」「が」「り」「ん」の5拍

 

昔、子供の時に、じゃんけんをして、パーで勝ったら「パイナップル」6文字分、グーで勝ったら「グリコ」の3文字分、チョキで勝ったら「チョコレイト」の※5文字分進むという遊びをしたことがある人もいると思います。

あれは、それぞれ、6拍分、3拍分、5拍分進んでいるとおも言い換えられます。

グーで勝っても全然得した気分にならないのは、「グリコ」の拍数が少ないからなのです。

 

このリズムの取り方が拍です。日本語のリズムを使った言葉遊びはほとんどこのユニットを単位としています。

 

たとえば、「しりとり」や「回文」、ひと昔の歌謡曲なんかもこの拍単位でリズムが形成されていっています。

 

しりとり → りす → すいか → かめ → めだか → カレイ → イラン

というように、最後の一文字、つまり最後の1拍を次の最初の1拍に持ってくる行為+最後の1拍が「ん」だった場合負けになる、というのが「しりとり」のルールだと言えます。

 

回文にも同じことが言えて、例えば、「たけやぶやけた」なども拍単位で処理しています。

後ろから読んでも同じということは、前からの拍ごとに列挙した音と、後ろから拍ごとに列挙した音が同じということです

つまり、

「た」「け」「や」「ぶ」「や」「け」「た」

を逆から列挙すると、

「た」「け」「や」「ぶ」「や」「け」「た」

になることを示しています。

文でなくとも、単語レベルでも「しんぶんし」といった単語も、拍レベルで逆から読んでも「しんぶんし」であると言えます。

 

なんでこんな例を今更出すねん!とお思いのかた、安心してください、これらはただの伏線です。

 

※「チョコレイト」は紛れもなく6文字ですが、これは5拍としてカウントします。小さい「ゃ」「ゅ」「ょ」のような所謂「拗音」と呼ばれるものは、これ単体で1音を成すわけではなくて「チャ」「チュ」「チョ」のように、2音で1音を表しているのです。ただ日本語にこれらの音を書き表す文字がないので、仕方なく2音で書いてるだけです。

一方でややこいことに、小さく書く音でも「っ」のような促音はこれ単体で1音を成します。上記の「カヤック」だったら4文字で4拍なのはこの「っ」にも1拍の役割があるということです。

要するに、文字ではなくリズムが大切ってことです!

 

このことを直感的に理解するために、「川柳」をみてみるといいかもしれません。

文字数を指でカウントしながら、次の川柳を読んでみてください。

 

① 妻が見る  (つまがみる)

今日の料理 (きょうのりょうり)

 明日も出ず  (あすもでず)

 

② 愛犬も      (あいけんも)

家族の番付  (かぞくのばんづけ)

しっている  (しっている)

 

この川柳は第29回サラリーマン川柳から拝借してきました!

おそらく1のほうは、5, 6 ,5になったと思います。2のほうは、5, 7, 5になったでしょう

①では「きょうのりょうり」は平仮名8文字ですが、指折りカウントした結果、6語になりましたね、

②では「しっている」の部分は5語になりましたね

つまり、「ゃゅょ」みたいな拗音はそれ1語で存在しているのではなくて、「きゃ」「きゅ」「きょ」のようにこの2文字分が1音なのだということと、

逆に「っ」のような促音は1音としてカウントされてる感覚が理解できたんじゃないかなーと思います。

この感覚こそが拍なんです!

 

それと、人によっては、じゃんけんで勝てば進める遊びのところで、チョキで勝てば「チヨコレイト」の6文字進めるルールだったかもしれません。実は私もこのルールで遊んでましたwこの場合はたぶん、昔の人が文字数と拍が完全一致しなくてじれったいから、「チョ」という1音を、無理やり「チヨ」という2音で読んですっきりしたかったんじゃないかなと思います。知らんけど。